企業の経営状態を表すものに、「損益計算書」 と 「貸借対照表」 があります。 損益計算書は、一定期間における経営成績を表したものです。 貸借対照表は、期末における財政状態を表したものです。

簿記会計の性質から、前者はフローを、後者はストックを表しています。 これは、経営成績の結果として利益が出て、それが資産や資本として蓄えられることを意味しています。 例えていえば、雨が降って(フロー)、ダムに水が溜まる(ストック)というようなところでしょうか。

私は、一つひとつの行動にも 「フロー」 と 「ストック」 があると思っています。 作業に没頭し、作業をこなすだけというのは 「フローの仕事」 となります。 作業をしながらも、体系的に整理しながら作業内容を理解する、どうしたら効率的に進められるかを考えながら作業する・・・こうした作業は 「ストックの仕事」 となります。

仕事の後に自分の中に何が残るのか?・・・これを問いかけていただければ、「フロー」 なのか 「ストック」 なのか、区別がつくように思います。

このような考え方を伝えるようになったのは、もう4-5年前のことですが、財務研修の折りに、ただひたすら計算機をたたく研修生に対してこのような問いかけをしたところ、とても良い反応だったというのが発端で用いるようになりました。

その後、企業支援の際に、従業員教育が進まない、従業員のレベルが低いままといった経営者の悩みに対して、日常業務の中の 「ストック比率」 を高めるという方法で実践していました。 これは、簡単にいえば、ある社員の1日の業務を分類し、時間軸でストック比率を検証し、これを引き上げるというものです。

このように、知っている言葉でも、本質を理解すると様々に転用することができます。 例えば、なぜ部屋が汚いかということもフローとストックで説明することができます。 身の回りのことで、いくつか考えてみてはいかがでしょうか。

さて、このコラムを読んでいる時間は、フローですか?ストックですか?