先日、紳士服店の覆面調査に行きました。 良いものがあれば買いたいとも思っていましたので、以前書きましたように、調査兼お買い物の趣味と実益を兼ねた休日の一コマです。
そこは、ある紳士服専門店のブランド品売場です。 並行輸入で仕入れており、為替差益もあるため、正規のブランドショップよりも安く販売しています。 特に最新の商品にこだわらなければ上質なものが大変安く購入できるため、物凄くお買い得です。
さて、商品を見ながら売場を歩いていると、片隅で従業員教育をしていました。 耳を澄ませながら商品を見ていると、先輩社員が若い女性社員にスーツのデザインについて教えているところです。 なかなか専門的な内容で、従業員のレベルも高いのだろうと感じていました。
「物凄く安くなっていますよ。 絶対にお買い得です(笑顔)」
気に入ったジャケットを試着しているところに、その女性社員が近づいて来て発した一言です。 確かに、大変お買い得だと思います。 某有名海外ブランドのジャケット定価表示79,000円のところ、期間限定で39,000円になっていました。 完全に型落ちの商品ですので定価表示はあてになりませんが、ベーシックなジャケットのため価値が損なわれているわけではありません。 お買い得というのは正しい表現だと思います。 ですが、心の中で、うーん残念。。。
①良いジャケットだな → ②着心地も良い → ③お買い得な価格 → 欲しい♪
私がこのジャケットを選択した際の心の動きです。 ここで大切なのは、①②で商品に対する価値をじっくり確認した後に③価格という順番です。 ですから、私のような者に対する店員の第一声は、「価格訴求」ではなく「価値訴求」が正解となります。 これを間違えると、安物を買うような気持ちになる、自分自身が安っぽい客だと言われたような気持ちになる・・・というような逆効果をもたらすことになります。
余談ですが、サイズ合わせも全くの素人であったため、ここでは完全に買う気がなくなりました。 結果として、商品は良かったのですが売れなかったということになりました。 その後、ベテラン男性社員のいる系列の別店舗で買いましたが、接客の間、素材感や着やすさを強調されていました。 これが接客経験の差なのでしょうか。
「価値訴求」 と 「価格訴求」
お客様の価値観に応じて、訴求ポイントをどこにするのか意識することは大変重要なことです。 私の販売分析の講義を受けたことがある方は記憶に残っていると嬉しいのですが、お客様の価値観に応じて3つの訴求ポイントを意識しておきたい(上記に利便性訴求を加えて3つ)・・・と解説していたと思います。
普段のお買い物の際にでも、今自分は何に心を動かされて買おうとしているのか・・・そんなことを考えていただくと、より理解が早くなるように思います。