(前編からの続き)

さて、本題の視察結果です。 まずは料理から。

さすが自社の養鶏場を持つだけあって、肉の新鮮さが感じられる美味しさでした。 特に、「じとっこ炭火焼」 と 「チキン南蛮」 は、本場 宮崎で食べた味と一緒~中々の美味しさでした♪ また、鮮度管理がしっかりしているのでしょう・・・ホルモン系のメニューも充実していました。

一方で、「きびなご」 はちょっと生臭さが・・・。 鶏は他店に負けない強みがあるけれど、魚はちょっと課題がありそうかな。 まあ農場系の居酒屋なので、変に広げずに 強みを伸ばしていったら良いのかなと思います。

他にも、じとっこのスープ(某テレビ番組で絶賛されたメニュー)、16種類の食材を使って作った秘伝の味噌(お通しの生野菜に付けて食べます)、さつまいものフライドポテト、肉巻きおにぎり などなど、特に東京地方の他店にはない独自色(地元色) が感じられる魅力的なメニューが並んでいました♪

価格も絶妙で、基本的には気軽に頼めるくらいの設定。 ちょっと高いかな? と思うメニューもありますが、ここでしか食べられないという特別感と、後に紹介する 「様々な演出」 により、結果的には高いと感じさせない設定でした。

そして、このお店のウリである接客について。 当日は開店初日ということもあって、掛け声が揃わなかったり、研修中という感じが伝わるバイトさんもいましたが、私たちのテーブルを担当した方は 他店からのヘルプということで、中々キレのある動きをしていました。

その中で一番感じられたのは、「お客様との会話」 と 「特別感の演出」 でした。

例えば、会話の糸口を見つけ、それに関わる内容で自己開示をし、お客様からの開示を促しながら、次の会話につなげ、程良いタイミングで切り上げる。 ほぉ・・・。 見た目と自己開示の情報から推定23才の担当さんは、中々のスキルをお持ちのようです。

そして、ちょいちょいテーブルに来ては行われる特別なサービス(→ ジャブと呼ぶそうです)。

例えば、「じとっこ炭火焼(緑の柚子胡椒が付いています)」 を食べている途中に 赤柚子胡椒を持って来たり、食べ終わった鉄板(鶏の油が残っています) でガーリックライスを作ってみたと持って来たり、隣のテーブルでは、食べていないお通しのキャベツを和えてサラダにしたり(魔法をかけてくれました)、初めて見るとちょっとびっくり & 嬉しくなります♪

調べてみると、コーヒーアートのように生ビールの泡に絵を描く、大根おろしを雪だるまにする、前述の鉄板できりたんぽを焼いて持って来る、残っている地鶏(油っぽい)におろしポン酢を掛けてさっぱり地鶏にして持って来る などなど、500以上あるのだそうです!(驚)

こうしたことをスタッフが楽しんでやっていることと、これらの情報がSNSで共有され、そこには作り方だけでなく原価も記されており、平均客単価の1割(400円)までなら何をしても良い(お客様に還元する) というルールがあるなど、お客様に楽しい時間を過ごしてもらう(満足度を上げる) ための 「仕組み」 があることが 強さの源泉なのだなあと感じました。

接客というその人独自の能力に頼った強みでは、その人が辞めてしまえば 強みは失われてしまいます。 だからといって、スタッフ全員ができるようにと安易に平準化(マニュアル化) を図ると、お客様には何の感動も与えられません。

スタッフ全員ができる、かつ、お客様に感動を与える ・・・ 難しい課題をクリアした素晴らしい会社だなと思いました。

そうそう、お店を出るときのお見送りで、小さなタッパに入った 秘伝の味噌をいただきました♪ 次回 空のタッパを持っていくとまた詰めてもらえるのだそうです。 最後までジャブを打たれっぱなし・・・行くしかないですね(笑)