https://consult-k.jp/colum/?p=1021 の続きです。

 

「Aさんにとって良いものは、Bさんにとって良いものとは限らない」

Aさんは、使えなくなったらまた新しいのを買えば良いと考えて、より安いものを求めています。 Bさんは、気に入ったものはできるだけ長く使いたいと考えて、より良質なものを求めています。 すると、Bさんが気に入っている商品をAさんは高い(ので不満)と言い、Aさんが気に入っている商品をBさんは安っぽい(ので不満)と言います。

こうして書くと、それは当たり前のように感じるのですが、「お客様の声」 にこのような前提条件を書く人はあまりいません。 ですから、「お客様の声」 をそのまま聴き入れてしまうと、Aさんの声を聴けば 「安くしなければ!」 と思い、Bさんの声を聴けば 「もっと上質なものにしなければ!」 と思ってしまいます。 上手く両者の意見を取り入れられれば良いのですが、なかなかそうもいきません・・・その結果、どっちつかずの改良(改善)を行い、AさんにもBさんにも 「中途半端」 とそっぽを向かれてしまいます。

まず大切なことは、ご商売をするにあたって 「お客様(ターゲット)を決める」 ということです。 そして、自分自身が、「誰のためにこの商品やサービスを提供しているのか」 ということを認識することです。 その上で、私が一番気にかけなければいけないお客様の声に耳を傾けるのです。

それでは、ターゲット以外のお客様の声は無視するのでしょうか?・・・いいえ、違います。 お客様の意見を2つに分類した上で聴き入れます。 まずは、誰にでも共通する意見・・・例えば、商品が汚れている、レジ待ちの時間が長い、トイレが汚い等々・・・AさんもBさんも嫌がる意見には素直に耳を傾けて改善します。 次に、そのお客様に特有の意見・・・例えば、Bさんをターゲットとした場合にAさんの高すぎるという意見・・・このような意見は、そもそも商品に求めているものが違うのですから、参考程度に留めておきます。

私がこれまで支援してきた中でも、「八方美人」  のような対応をして中途半端になったり、逆に、「客は自分勝手だ!」 と悪口を言ったりする人も少なくありませんでした。 これでは良い経営にはつながりませんね。

「お客様は、(お客様の理由付けの中で) 自身の思いを伝えているだけ」

お客様の声を活かすも、お客様の声に振り回されるも、全てはあなたが 「お客様の声」 にどう向き合っているのか・・・それ次第なのです。