公正取引委員会は、業界の商慣行、近年の金融情勢等を総合的に勘案し、指導基準等を変更。

2024年(令和6年)11月1日以降、親事業者が下請代金の支払手段として、サイト(= 手形期間・決済期間)が 60日を超える長期の手形等(一括決済方式又は電子記録債権含む)を交付した場合、下請代金支払遅延等防止法(=下請法)の割引困難な手形の交付等に該当するおそれがあるとして、その親事業者に対し指導する方針を公表しました。

・・・端的にいうと、これまでよく見られた 90日や120日など長期の手形等による支払いは国が認めないということ、、、といっても、全社が直ちに従うとも考えていないため、指導公表など厳しく対応するというものです。

これに先立って、アンケート調査で「現金払いへの変更やサイトを 60日以内に短縮する予定はない」とした親事業者 600社注意喚起の書面通知を行っており、、、まずはこの 600社が 11月1日以降、注意喚起に従ったのか、従わない企業に対し公正取引委員会がどう対処するのか、注視したいです。

少し時間は掛かるにしても、取引環境は改善されていくでしょうから、喜ばしい動きではありますが、根本的なところで注意点も、、、

それは、あくまで下請法の運用によるものであるため、下請法の適用対象となる親事業者」「下請事業者に当たるかどうか、という点です。

・・・この辺り、取引内容(4類型)と資本金規模で、次のように定義されています。 (※2024年11月時点の定義 → 下請事業者保護の観点でいつか改正される可能性も)

製造委託・修理委託の場合
・<親事業者> 資本金3億円超 /<下請事業者> 資本金3億円以下(個人含む)
・<親事業者> 資本金1千万円超 3億円以下 /<下請事業者> 資本金1千万円以下(個人含む)

情報成果物作成委託・役務提供委託の場合
・<親事業者> 資本金5千万円超 /<下請事業者> 資本金5千万円以下(個人含む)
・<親事業者> 資本金1千万円超 5千万円以下 /<下請事業者> 資本金1千万円以下(個人含む)

・・・例えば、自社が「資本金2千万円の製造業」、発注企業(トンネル会社規制に該当しない)が「資本金2億円」の場合、発注者に意見もできない完全下請けの立場であっても下請法の適用外となります。

この例で、受注した仕事について、工程の一部を個人事業主に外注した場合、その個人事業主に対しては自社が親事業者となり、下請法の適用対象となります。

・・・仮に、発注企業が 90日の手形で支払うとしても(→下請法適用外のため問題なし)、自社は個人事業主に対し 60日以内のサイトで支払う法的義務が生じますので、、、こうした法律の理解を怠ると、加害者になる可能性もあることにご留意いただければと思います