【3/31追記】ダイエー東大和店のその後・・・ 掲載中です。 https://consult-k.jp/colum/?p=839

 

東大和市の中心は?と尋ねると、多くの住民がダイエーとヨーカドーの辺りを指すように思います。 東大和市はこの町の規模に似つかわず、ダイエーとヨーカドーという大型スーパーが通りを挟んで向かい合って営業しているのです。

しかしながら、両者の約9年間の戦いに幕を下ろす時がきました。 「ダイエー東大和店 37年間のご愛顧ありがとうございました」・・・2012年5月に閉店することになりました。

「私の体はダイエーで作られている」 という程ヘビーユーザーだった時期もあったため、大変寂しい気持ちでいます。

さて、少し私見を交えながらダイエー東大和店の健闘を振り返りたいと思います。

1975年に開店した老朽化の著しいダイエー東大和店に対し、対ダイエーとして2倍の売場面積で2003年に開店したヨーカドー東大和店・・・勝負にならないというのがもっぱらの評判でした。 それでも 「地域密着」 「88円市」 によって一時はダイエーが優勢に立っていたように思います。

しかしながら、風向きが変わったのが、皆さんの記憶にもあると思いますが2007年の小麦高騰です。 当初は我慢しながら続けていた 「88円市」 も徐々に品目が減っていき、翌年には 「99円市」 に値上げ、その翌年には品目も随分と減り、かつて盛況だったころの 「市」 はもはやありませんでした。

それでも店内改装を行い 「ユニクロ」 や 「赤ちゃん本舗」 などのテナントで新たな魅力を打ち出したり、ポイントカードや5%引きクーポンの配布によって持ち直した感もありましたが、2011年3月の大震災が大きな影を落としました。

それは、震災の直接的な影響というよりは、計画停電と節電という間接的な影響によるものです。 まだまだ設備の新しいヨーカドーと比べて、老朽化の進んだダイエーは見るも無残な節電営業を強いられました。 私も実際に行ってみて、老朽化した店内の照明が間引かれると、陰影がこれほどまでに不衛生に見せてしまうものかと愕然としたことを覚えています。 生鮮食品を扱うお店としては耐えられないほどの店内照明・・・これが固定客離れの大きな要因であったように思います。 その結果、顧客の減少に歯止めが効かず、節電ムードが収まった後も一度離れた顧客の回復はみられず、経営を維持することが難しい状態となった・・・というところでしょうか。

このように、ダイエー東大和店は、①強い競合店の攻勢(=ヨーカドーの出店)、②原価の高騰と強みの喪失(=小麦の高騰)、③マイナスイメージでの営業(=節電営業)・・・という3つの危機に直面しました。 最終的には閉店という残念な結果になりましたが、2つ目までは起死回生の打開策を打ち出せていたように思います。 このお店にとっては、どれもが未曾有の危機であったはず・・・それを2つも跳ね返したということは称賛に値すると思っています。

もしも皆様の会社がこのような危機に直面したら、どのように打開しますか?