「経済が循環しないのは 企業が内部留保を溜めこんでいるからだ」 などと 景気回復を妨げる原因として批判されていた企業の 「内部留保」、、、最近では、円安や原材料高騰などに矛先が変わったため、話題にものぼらなくなってしまいましたね(笑)

最近の支援の中で、立て続けに 「内部留保」 にまつわる話をしたため、コラムにも記載しておこうと思います。

【内部留保】 企業の純利益から、税金、配当金、役員賞与などの社外流出分を差し引いた残りで、「社内留保」 ともいう。 平たくいえば 「企業の儲けの蓄え」 のこと。 (知恵蔵2015より抜粋)

政府は、「企業は儲かっているのに、内部に溜めこむことでお金が世の中に回らない」 と批判していましたが、それはある意味正解です。 企業は、利益を 従業員に還元したり 新たな設備や事業に投資したり、儲けたお金を正しく使うことで経済は循環するもの、、、必要以上に溜めこめば経済に悪影響を及ぼします。

しかしながら、「なぜ溜めこむのか」 といえば、それは簡単なこと、、、将来に不安を抱いているからに他なりません。

先行き不透明なこの時代、、、「今年は儲かったけれども 来年はどうか・・・」 と不安を抱けば、来年の業績悪化に備えて儲けは溜めておきます。 金融機関に貸し渋られた経験のある経営者は、将来の資金繰りのために今の内に溜めておきます。 経営者の立場で考えれば、「今の時代に内部留保を厚くせずにどうするのか?」 というのが正しい認識かもしれません。

さて、ここで問題となるのが、赤字やギリギリ黒字の中小企業・小規模事業者。 そうした経営状態では 「内部留保」 が蓄えられませんので、将来の危機を乗り切ることができるのか 不安が増していきます。

また、内部留保は、将来の不安だけでなく、成長する上でも必要不可欠なものとなります。 例えば、営業活動が実って大口の仕事を受注できたとします。 先払いしなくてはならない 仕入や製造の資金はありますか? ・・・以前、仕入資金が捻出できず(→ 金融機関には追加融資を断られていました)、せっかくの受注を手放すことになりそうだと相談を受けたこともあります。 (※助言したことを実行することで融資を得られ 大口取引も上手くいきましたが、それはまたの機会に)

他にも、売上を上げるために必要な 自社のPR(販売促進)、有能な従業員の獲得、設備の改修・増強・・・等々、売上代金を回収する前に相応の資金が必要となります。 そうした時に、内部留保を重ねることで 資産・資本を増強していなければ、せっかくのチャンスを活かせなくなってしまいます。

経営者の皆さまは、将来の危機のためにも 成長のためにも、「内部留保」 を考えた上で利益計画を立てていますか? ただ単に黒字を目指すというのでは、将来の見通しが立たなくなる懸念がありますので ご留意を。