私は、コラムを書く際に気を付けていることがあるのですが、その 1つに 「過熱している(しそうな) 話題は時期をずらす」 というのがあります。 以前、早い段階で書いたコラムがまとめ記事に転載されてしまい、そこでは肯定的に取り上げられていたようですが、知らないところで炎上に巻き込まれてしまうリスクがあると感じたため、ここ数年は少しタイミングをずらしてコラムに書いたりしています。

さて、先日、ファッション通販サイトの 「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」 で、大量の商品が 0円販売されたことが話題になりました。 告知もなく 0円の表示だったようで、ラッキーと思って買った人もいれば 誤表示と思って敢えて買わなかった人、いつもはサイトを見ているのにたまたまこの時間は見ていなくて買えなかった人などなど、悲喜こもごもの様子が方々のコミュニケーションサイトに挙がっています。

翌日になって、会社から 「10周年の感謝の気持ちを込めて、毎日サイトに来てくれるお客様へのサプライズプレゼント」 との公式発表がありましたが、、、

その後のネットでの反応を見ると、逆に不満や不信感を募らせるコメントが多く挙がり、それに対して 「買えなかった人のやっかみ」 との反論もあって荒れ気味の様相、、、確かに、毎日サイトを見ているヘビーユーザーなのに買えなかった人からすると、公式発表を見たことで釈然としない気持ちになるかもしれません。

サプライズは仕掛ける側の独りよがりという側面がついてまわりますから、、、サプライズがどう作用するのかを十分に考えてから仕掛けないといけないですね(苦笑)

そして、そうした声を受けてなのか最初から計画していたのかは分かりませんが、その後 「0円で買えなかったお客様へ」 と題して、会員全員に今月中に使える 500円分のポイント付与を発表しました。 単なる 10周年記念のポイント付与という形ではなく、0円販売で話題沸騰させて 顧客を引き付けておいてからの期間限定ポイント、、、販促効果としては後者の方が断然高そうですね。

「売上を上げよう」 「顧客を呼び込もう」 と思っても、従来型の販促では中々効果は上がらないし、かといって 奇をてらった販促では分かりにくかったり 逆に批判を受ける懸念もある、、、そうしたことを考えながら二重に三重に策を巡らせないといけないのだなと感じた ZOZOTOWNの 10周年イベントでした。

 

ちなみに、0円で約 2万点(総額 2億円相当) を販売したことが、「独占禁止法(不当廉売) に違反している」 との声が挙がっていることについて、、、価値の低下した流行性の高い商品であっても 0円にまで減価できませんので、そうした意味では廉売行為(原価割れ販売) といえると思います。 しかしながら、今回は 「10周年記念のサプライズ」 という継続性のないものですから、「供給に要する費用を著しく下回る対価で 継続して供給すること(独占禁止法第2条 第9項 第3号)」 の規定には該当しない、つまり、騒ぎになったので事情聴取はされるかもしれませんが 摘発はない(不当廉売行為に該当しない) と私は考えています。