私たちの日常は、20-30年前とは比較にならないほど良質で便利なモノやサービスがあふれています。 そして、新しいものを容易に生み出すことができないくらいに成熟した社会となっています。

このような時代に業績を向上させようと考えたとき、自身の業界だけで物事を考えていたのでは 中々良い方向性は見出せません。 そこで、特に資本力のある大手企業で行われるのが 「異業種への進出」 です。

それでは、 「本にまつわる業界」 を例にしてご説明します (→ アパレル業界とたどってきた道が酷似していることから、私の専門分野の 1つとなっています)。

まず、「本にまつわる業界」 は 大きく、出版業、印刷業、製本業、出版取次業、小売業(書店・コンビニ・ネット販売店等) などに分かれており、このような多くの業種を経て 1冊の本が世に出ています。

これまでは 「同業種での競争」 を繰り広げていた各社ですが、業種内で良い方向性が見出せないようになると、業種の垣根を超えた競争が始まります。

例えば、A社 や R社などのネット販売大手が書籍販売に力を入れることで 一般書店が大きなダメージを受け、さらに、電子書籍を普及させる動きも加わったことで 出版取次もダメージを受けつつあります。 そして、電子書籍の流れが加速すれば、デジタル化に対応できない出版社も劣勢に立たされることになります。

また、大手印刷会社が自社に製本部門を作り、印刷から製本までを一括受注することで 製本業界は大きなダメージを受けていますし、その一方で、汎用印刷機器の性能向上とともに、製本業界でも印刷部門を持って一括受注するべく 反撃の機会をうかがっています。

このような業種を飛び越えた戦いを繰り広げている 「本にまつわる業界」 ですが、、、先日発表された 出版大手 K社 と ネット企業の勇 D社 の経営統合によって、(2社の取り組みが上手くいけば) 昨今の過酷な 「異業種間競争」 が意味を成さなくなるほどの激震(既成概念の崩壊) が起きる可能性が出てきたのです。

そうしたことを踏まえて、私の支援先では 新たな取り組みをスタートさせたところです。 (取り組みに影響を及ぼす可能性もあるため、ブログでは詳しい情報は敢えて控えていますのでご了承ください)

このように、「同業種間競争」 から 「異業種間競争」 へ、そして、その向こう側にはあるのは 「既成概念の崩壊と再構築」 (?)  ・・・多くの中小企業が、関連業種など周囲の動きを見渡しながら 先を見据えた展開を検討し、将来の危機を脱する取り組みをスタートさせていただきたいと願っています。