少し前に掲載しました 「現場主義の弊害」 の続きです。 https://consult-k.jp/colum/?p=467

以前、ある企業様の支援をした時のことです。 そこは、中高年向けの婦人服を販売しているやや高級路線のブティックでした。 少子高齢化も進む昨今、お客様は60代以上しか考えられないというのが経営者の持論でした。

左の図は、市内の園児数と児童数を調べたものです。 すると、少子化とはいうものの、この市では児童数が伸びていることが分かります (但し、園児数が横ばいに推移しているため、今後の児童数は横ばいになる可能性があります)。 それに合わせて、学校のクラスの数も増えていることが分かります。

右の図は、市内の年齢別の人口推移を調べたものです。 すると、60代・70代・80代の伸びから、確かに高齢化していることがうかがえます。 しかしながら、ここ数年の50代の大幅な落ち込み、ここ1-2年の60代の横ばい、70代の横ばい傾向を考えれば、今後はさほど高齢化が進まないことが推測されます。 一方で、30代が一番多く、40代が年々伸びており (ここ1-2年の30代の落ち込みは40代に年代が移ったと推測)、今後は、ますます40代が大きな割合を占めると推測されます。

現場を見たときに、60代中心にするというのは一面では正しいと思います。 しかし、それはお店の中だけの話・・・お店の外を見ればドンドン40代が増えているのです (数字で見れば明らかです・・・30代・40代で31.1%、60代・70代で24.9%)。 また、児童数の伸びと合わせて考えると、小さな子供を育てている40代ママ世代が重要なターゲットとなる可能性も考えられます。

「顧客は60代中心で今は少子高齢化の時代」 ・・・だから、60-70代向けの商品を中心に展開するという視野の狭い考え方よりも、「顧客は60代中心だが商圏は40代の伸びが著しい」 ・・・だから、そのギャップを埋めるために品揃えを見直すという大所高所の視点を持っていた方が、必ずや経営にプラスに働くといえます。

こちらの企業様では後者の考え方を受け入れ、バッグや小物の品揃えを見直す(少し若い人向きの色・素材の商品を増やす)ことで、30-40代の新規顧客を増やすことに成功しました。

皆様も、現場に偏り過ぎることなく、広い視野で経営環境を捉えていただければと思います。